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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科12巻2号

1958年02月発行

臨床研究

巨大児の成因

著者: 加藤一男1 小川仙一1 川畑喜積1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院分院産婦人科教室

ページ範囲:P.123 - P.128

文献概要

1.緒論
 内外の文献中より巨大児の成因に関する諸説を摘録するに,彼等の多くは新生児の体重4000gr.以上を一括して巨大児と名付けて,其の発生原因の究明に努めて来たが,何れとして其の成因に明快な説明を与えていないと言うのが,今日に於ける一般的な見解である。さて,第1図はわれわれが木村博士(東大)の巨大児に関する統計的研究より,巨大児の体重分布をえがいたものだが,普通種々の原因によつて変動する量は,ガウスの誤差曲線の形をなし,新産児の体重の分布も同じであるが,それが第1図の様に先の方で更に山が出来ている時には,此れは普通の条件と異る原因に依るものと考えられる。即ち体重増加の末梢の図の如き1個の小山は,種々の条件で生じた個体差に依るものではなく,何か全く異る性質の小群で,当院の新産児体重の分布曲線は第2図の様になり,右の裾の方は数学的には消える筈なのに,此の小山の存在する事は在胎期間の長短や母体の大小,栄養状態,経産回数と言う様な影響は否定してよいと思う。併し乍ら此の種の理論は統計学ではうまく取り扱われていない未解の分野の問題で,兎に角われわれは此の小群を本質的に異るものと見做したいが,欧米の先哲の中には既に此の現象に着想したかに思われるものがある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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