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手術・手技・麻酔
広範性子宮全摘除術後の尿管瘻に対する尿管小腸膀胱吻合術の経験
著者: 山屋浩一1 飯田肇1 茅根竜平1
所属機関: 1岩手医科大学産婦人科学教室
ページ範囲:P.271 - P.273
文献購入ページに移動第1例 東 ○い 45才 家婦
診断:子宮頚癌第II期および子宮筋腫
経過:昭和30年10月25日に腹式広範性子宮全摘除術を実施して21日目に右尿管腟瘻を生じたが,そのまま後照射をおこない,120日目に尿管腟瘻をのこして退院した。しかるに退院後7日目に排尿停止し,発熱,悪心,嘔吐をきたし,ふたたび入院した。そのさい尿管カテテリスムスをおこない600ccの排尿を認め,インヂゴカルミン排泄試験は左側15分30秒,右側30分で,血中残余窒素は55mg/dlであつた。4日目にカテーテルを除去すると,翌日は体温39.4℃となり,右尿管腟瘻のほかに左尿管瘻の発生を認め,左側腟断端,直腸よりも尿の流出をきたした。204日目には膀胱容量80ccとなり,インヂゴカルミン試験では腟断端と肛門からのみ色素排泄が認められ,腎盂撮影で著明な水腎症の所見をえたので(第1図),211日目に尿管移植術を実施した。
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