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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科12巻7号

1958年07月発行

文献概要

臨床研究

胎児卵巣に於ける門細胞の組織細胞学的研究

著者: 茂垣怜1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.515 - P.524

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第1章 緒言
 卵巣は子宮の上位にあつて,エストロゲン,プロゲストロンを産生し,子宮の周期性変化を支配している。この両ホルモンは顆粒膜細胞,黄体細胞等より分泌される。女性に於いてはこれらのホルモンの他にアンドロゲンが証明されている。しかし近時卵巣からアンドロゲン様物質が抽出され,卵巣からも同ホルモンが産生されることが推定されている。その産生部位として注目されるものが卵巣門細胞である。
 卵巣は門部と実質とに区別される。前者は比較的鬆粗な結合織と小量の筋組織よりなり,こゝに卵巣間膜より実質に向う多数の血管と神経とがある。卵巣門細胞はこの門部に存在し,しかも神経ことに交感神経と密接な関係を有している。この細胞について最初に記載したのはKohn(1906)1)であつて,上述のような特徴を有することより,同氏はSympathicotrophic cell(交感神経親細胞)と名付けた。その後Berger(1923)2)−5)は,この細胞の存在部位より卵巣門細胞(hilus cellof ovary)又は卵巣に於けるライデイヒ細胞(ovarian Leidig's cell)と命名し,現在は卵巣門細胞という名称が多く用いられている。後者は睾丸の間質細胞(interstitial cell)即ちLeidig細胞と形態的に酷似することより名付けられたものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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