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臨床統計
水田作業に従事する農村婦人の月経周期に関する考察
著者: 蠣崎要1 種市了三1 高田一夫1 村田善保1
所属機関: 1弘前大学医学部産婦人科学教室
ページ範囲:P.583 - P.586
文献購入ページに移動女子性腺機能は種々の物理化学的或いは精神的刺戟によつて容易に影響され,特に放射線に対して最も敏感に反応する。当弘前地方における田園作業は4月下旬から5月にかけて開始されるが,その作業における婦人の役割は見逃がすことの出来ない重要な役割を果たしている。一方水爆実験は世界の世論とは関係なく続行されている。
著者等はさきに(弘前医学8,230,1957)ビキニ海域における水爆実験の時期が丁度当地方の田植時期に相当していたので,その田園に働く農村婦人の性腺機能に如何なる影響があるかを月経周期の変動を中心に調査し,月経周期の従来順調な婦人のみならず,従来月経周期の不順な婦人にも,少なからず影響のあることを報告した。農村婦人は,その後再三繰返される水爆実験のために絶えず放射性物質で汚染されている環境にあつて,全く放射性物質に対しては無防禦の状態で田園作業に従事している現状であつて,1957年のクリスマス島水爆実験(1957年5月16日,6月1日,20日)もまた当地方の農繁期に相当することから,1956年3月以来調査して来た農村婦人の月経周期について,これら条件下において田園作業というはげしい肉体労働が,性腺機能に如何なる影響を及ぼすかという問題を中心に再び検討した。
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