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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科12巻8号

1958年08月発行

臨床研究

開腹術後疼痛管理の一新法

著者: 森新太郎1

所属機関: 1新大阪(住友)病院

ページ範囲:P.601 - P.604

文献概要

I.緒言
 一般に開腹術後の苦痛には大別して次の種類がある、すなわち(a)腹壁創の疼痛,(b)内臓の諸器管より発する疼痛,(c)術後の他の身体的苦痛及び精神的苦悩である。従来,手術時の麻酔に関しては存分研究され現在では術前,術中患者は些かも精神的苦痛や疼痛を感ずることなく経過せしめることさえ出来,この点は患者にとり誠に感謝的である。然しさて術後に待構えているものに上記3種の苦痛があり開腹術にはつきものの宿縁とはいえ誠に苦痛なものである。ところでこの術後の苦痛除去に対する研究は今までに余り発表なく,未だにモルフィン系麻薬を術者の常套手段として使用し,患者の苦訴を何とか押えつけているのが大部分の現況である。すなわち術前術中の麻酔に関しては術者の手技を存分に振う関係もありきわめて熱心に研究されているに反し,術後の苦痛除去に対しては一見不熱心の感がないでもない。況んや「術後1,3日位腹が痛むのは当然のことで,これくらいは辛抱せねばならぬ」などの意味のことを患者に告げねばならぬのは既に術者の敗北であり医師の怠慢であるとさえ云わねばならぬ。さて冒頭に述べた如く開腹術後の苦痛には3種類あるが,このうち最も患者を苦しめるものは(a)であることは今更揚言の要はないが,従来これの対策としてモルフィン系の麻薬を使用するのが医家の定石であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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