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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科12巻8号

1958年08月発行

臨床研究

子宮頸癌患者の血糖値,特に採血部位による—血糖差と治療による血糖変動

著者: 蠣崎要1 小野寺紀彦 橋本鱗也

所属機関: 1弘前大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.607 - P.611

文献概要

I.はしがき
 癌患者の糖代謝に関する研究は古く,既にFre-und (1885)が癌患者の血糖増加を報告して以来幾多の業績がある。最近Way1)は子宮体癌患者の29%が糖尿病性である事を述べ,Palmer2),Peel3)等も子宮体癌素因として糖代謝異常が重要な関係があるとしている。しかし子宮体癌と異る内分泌関係にある子宮頚癌患者の糖代謝については,あまり検討されていない。その血糖値については,一般に高値をみるとの報告が多いがその成因に関しては未だ明らかにされていない。
 著者の一人蛎崎11)は,さきに子宮頚癌患者は糖同化能の減弱,血糖調節機構の異常があつて,末梢組織の糖利用が障碍されていることを報告し,この様な糖代謝の異常には肝機能障碍のほか,下垂体一副腎系機能の失調が関与していることを述べた。以上の実験では血糖値測定は主として耳朶血によつている。しかし既報の如く癌組織に於いては解糖作用が強いことや,癌組織以外の末梢組織の糖利用が障碍されていること等から,末梢血の血糖値に差異があるかを検討するとともに,ブドー糖負荷,インシュリン負荷によるこれらの影響を観察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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