文献詳細
文献概要
臨床研究
不妊症と子宮内膜,特にいわゆる「AtypischeSekretionsphase」について
著者: 河合信秀1 池沢紀郎1
所属機関: 1東京大学医学部産科婦人科学教室
ページ範囲:P.675 - P.683
文献購入ページに移動1908年Hitschmann and Adlerが成熟婦人の子宮内膜に周期性変化があることを発見して以来,これに関する数多くの研究がなされ,1912年R.Schröderによって子宮内膜と卵巣周期との関係が組織学的にほぼ明らかにされ,その後多くの研究者によつて更に種々の点が解明されたが,1948年Brewer,Jonesは黄体と内膜との関係は必ずしも両者相関せず,分泌期内膜よりの出血の原因の一つは黄体の異常であり,今一つは内膜の一部が黄体からの正常な感応に欠けるためであることを立証した。一方不妊症の原因は胚種細胞の生成部位から,授精,着床の部位にいたる男女性器の各部分に存在しうるのみならず,これらより上位の調節系にも原因は存在しうるが,特に妊孕力低下で最近問題となつているのに内膜と精液がある。1952年Pommerenke,Breckenridgeは排卵後の内膜にグリコーゲン含有量が少いことは不妊および流産の原因となるとし,1954年Tylerは子宮内膜の組織像,グリコーゲン量,酸素含有量,その他の要素から不妊患者の43%に内膜の異常があるとした。
掲載誌情報