icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科12巻9号

1958年09月発行

文献概要

薬剤の臨床

晩期妊娠中毒症の浮腫に対するDiamoxの応用

著者: 田中敏晴1 内田智1 木川源則1 我妻堯1

所属機関: 1東京大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.709 - P.715

文献購入ページに移動
緒言
 余等は先に「高血圧性妊娠中毒症に対する降圧剤Sepasil,Apresolineの併用療法」に就て発表したが今回は妊娠中毒症の経過中殆ど毎常その初期に発現し,そのTriasの一つとして重要視される浮腫の治療を中心として,その知見を纒めてみたい。Diamoxは元来スルファミンが炭酸脱水酸素(CA)を特異的に抑制するという事実から出発して研究合成されたもので強力な利尿剤として汎用されるに至つた。この利尿作用に就ては田坂等は糸球体濾過値,腎血流量に関係なく選択的に尿細管に作用しCA抑制に伴いNa,K,重炭酸イオンの排泄が増加し,結果として水分排泄をもたらすものと考えられている。しかし,岩橋等は腎血流量,糸球体濾過値の増加を示したものが多く,その利尿作用はCA抑制のみに依るものではないとしている。余等もこれらの点に就て検討を試みつつあるが,これは後日稿を改めて発表することとし,今回は1錠中250mgを含むDiamox内服錠を用いた妊娠中毒症例の臨床治療成績を中心に,少数ではあるが動物実験に依りDiamoxに抗利尿物質に対する拮抗性のあることを認めたので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?