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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科13巻10号

1959年10月発行

文献概要

グラフ

一側性産褥乳房肥大症

著者: 斉藤幹1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.851 - P.852

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 妊娠時,乳腺は胎盤及び妊娠黄体より分泌されるestrogen, Progesteroneの作用をうけて著明に発育する。これと平行して乳房も増大,膨隆し非妊時とは一見して明らかな差異が認められる。然し時には乳房の増大が正常範囲を逸脱し過度に達することがある。このような現象は妊娠中に既にその傾向が認められることが多いが,普通産褥期に入り急激に現われてくる。両側乳房に発生することもあり一側性の場合もある。一度発生すると肥大症は長期間に亘り存続し,患者は高度の乳房緊張感,肥大乳房の下垂による牽引痛,睡眠障碍などを訴え,昼間においても夜間にあつてもこれら症状による苦悩が甚だしい。産褥乳房肥大症は屡々多乳症Polygalactyを合併し乳汁分泌は著るしく亢進,1日1〜2l以上の乳汁を排出するが自発痛のため授乳は困難なことが多い。
 第1図及び第2図は25歳,初産婦に見られた一側性乳房肥大症の例である。乳房の増大は妊娠中に既に顕著であつたが産褥期に入り急激化した。右側乳房は小児頭大に腫大し色素沈着,血管怒張,波動が著るしく強い乳房の牽引痛,自発痛を訴えた。腋窩リンパ節の腫脹は認められず,又他側乳房は正常産褥時のものと大差がない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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