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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科13巻10号

1959年10月発行

臨床研究

分泌期内膜剥脱不全症の1型

著者: 出口奎示1

所属機関: 1東京大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.861 - P.864

文献概要

Ⅰ.緒言
 機能性子宮出血は卵管及び子宮体内に器質性変化なくして起る子宮出血で,その定義は内分泌機能の異常に基くことを原則としている。然しながら広義の観点からみた本症の成因は極めて複雑であり内分泌異常と共に末梢性の原因的因子としても子宮内膜血管異常,子宮血行異常,子宮内膜のホルモンに対する感受性の部位的異常,子宮内膜内の酵素系の異常などが考えられている。本症の一特殊型である分泌期内膜剥脱不全症(月経内膜剥脱遅延症) Irregular shedding of the endo-metriumにしてもその病因論的本体は黄体機能不全と密接に関連するものと指摘されている。一方内膜剥脱不全の発生自体は子宮筋腫,内膜ポリープ或いは妊娠早期に於ける不全流産の如きものによつても起り得るものとされているが,斯かる器質性変化は兎も角として機能性疾患と目される剥脱不全症の成因も果して内分泌異常という一元的なものに帰し得るであろうか。
 最近私は月経周期が順調で基礎体温は定型的2相性曲線を示しながら月経出血遷延を長期に亘り反復し,而も出血時の内膜は混合像を呈しながら卵巣機能不全が存在するとは思われない興味ある1症例を経験しているので,本症例を分泌期内膜剥脱不全症の一型とし諸家の知見をも併せ考按する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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