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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科13巻11号

1959年11月発行

臨床研究

各種薬剤腟内投与による腟内容,角化・グリコゲン指数の推移及び腟粘膜組織学的変化

著者: 伊藤久子1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.967 - P.985

文献概要

Ⅰ.緒言
 Müller氏管の発達分化に由来する雌性々器部位上皮の増殖はestrogenに依存し,progeste-roneとの協力の下に周期性変化を示すとは定説である。婦人腟に於ける周期性変化については嘗つてZondek1),Stieve2)等により異論も唱えられた。然し腟の極めて末端部を除く全域がMüller氏管に由来することは,Meyer3)及びKoff4)等の業績に明らかであり,周期性変化は組織学的に先ずDierks5)により発見され,この事実はさらにPapanicolaouとShorr6),Traut7)等以来多数の人々により剥脱細胞学的に補捉確認された。今日では腟脂膏塗抹法は腟の生理,感染の病態,内分泌障害の診断,治療上の指標として役立つことゝなり,また子宮癌早期診断法にまで発展をみた。
 腟粘膜上皮,或いは腟内容の角化度,グリコゲン含有量,酸度は腟生理,またestrogen効果の指標として重要なことは,数多くの業績の教えるところであるが,Ayer8)等がPenicillin腟坐薬連続投与により腟壁角化促進と,腟内グリコゲン量の増加を認め,本邦でも野嶽9)等が同様の成績と,それに伴うカンヂダ発生,また投与中止による自然消滅を始めて報告したのは興味あり,注目すべき知見である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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