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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科13巻11号

1959年11月発行

実験的研究

X線照射のHeLa細胞に及ぼす影響

著者: 光石堅1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.987 - P.996

文献概要

Ⅰ.緒言
 癌研究発展の道程が組織形態学に主流が置かれたのは当然であるが,游離腹水癌の発見,剥脱細胞による癌診断,組織培養の発展等は細胞病理学的研究領域の飛躍を促し,癌の定量的研究,癌化学療法の理念を成立せしめた。特に子宮頚癌に由来する純粋確立培養細胞株HeLa細胞の存在は,婦人科領域の興味の対象としてのみならず実験的意欲を促すに充分である。既に野嶽等1)は本細胞が各種抗癌剤に鋭敏な感受性を有し,形態学的に多彩の変貌を示し定量的にも増殖は抑制を受けることを検討し,数次に亘つて発表した。翻つてX線照射が癌治療法として手術と双壁をなすことは云うまでもないが,子宮癌についてのX線効果は病理組織学的にはFrankle & Amreich2),Dustin3),Meigs & Parker4),Frola5),Glücksmann6),7)等の報告があり,剥脱細胞学的にはGraham等8)の詳細な報告がある。著者はHeLa細胞のX線照射実験を行い精密な形態的変化の推移を観察することが出来,癌細胞の放射線変化に対する良き指針を得た。また本成績は野嶽等の抗癌剤群に就いての実験をして一層意義あらしめ,実際上にも示唆を与える所が大きいと思われるので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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