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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科13巻11号

1959年11月発行

文献概要

薬剤の臨床

Tetracycline phosphate Complex(ブリサイ—TX)の実験的および臨床的研究

著者: 張南薫1 西平守正1 幡谷博久1

所属機関: 1昭和医科大学産婦人科学教室

ページ範囲:P.1001 - P.1004

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Ⅰ.まえがき
 1956年11月,TetracyclineとSodium hexa-metaphosphateの複合体であるTetracyclinephosphate complex (Tetrex,ブリサイTX)が製作され臨床的に使用され得るようになつたが,本製剤は従来使用されて来たTetracycline塩酸塩(以下,Tc.HCI)と比較して腸管からの吸収が確実で血中出現も速く,血中濃度も高く且つ長時間維持される事が1957年2月以来,Kaplan1), Welch2), Pulaski3),によつて報告されている。メタ燐酸の添加が如何なる機序の下にTc.の吸収を促進させ血中濃度を上げるかは未だ不明の点もあるがTc.は腸内に於いてマグネシウム,カルシウム,鉄,アルミニウム等のイオンと結合して不溶性のキレート化合物となるため吸収が妨げられ,メタ燐酸ソーダはこれらイオンと結合してTc.を化学的に保護するため吸収がよくなるものであると考えられている。この事実は本邦に於いても,藤井4),中沢5),等の記載があり,本年の第6回日本化学療法学会総会に於いても報告がみられた。われわれは,Tetrexを使用し血中濃度並びに乳汁中濃度,諸臓器内濃度等をTc. HCIと比較する一方,産婦人科感染症を対照としての臨床効果に就いても検討したので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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