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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科13巻11号

1959年11月発行

文献概要

薬剤の臨床

強力モリアミンSの前熟児に対する使用経験について

著者: 安達將介12 小国美種12 大木洋一12 小武海成一12

所属機関: 1慶応義塾大学医学部産婦人科学教室 2東京都立台東産院

ページ範囲:P.1007 - P.1009

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Ⅰ.緒言
 未熟児哺育に関しては従来より種々の研究が進められて居り,その根本方針は母体内に於ける胎生時とほぼ同様の環境と栄養を与える事である。この点に関して現在では優秀な哺育器の使用,栄養剤,発育促進剤,抗生物質等の薬剤の使用に依り,前熟児の死亡率は減少しつつあるのであるが,諸家の報告をみるに未だ満足すべき成績には達して居ない様である。早産前熟児の分娩前後に於ける死亡率の高い事は,E.MartinおよびMü-ller等が強調する迄もなく高率である。特に分娩第1日の死亡率が高い。Müllerはドイツに於ける早産児の分娩前後に於ける死亡率は38%であると報告しており,Gleissは米国に於ける新生児死亡の80%が前熟児が原因して居ると言つている。更に東京都に於ける昭和31年度の前熟児死亡統計をみると,新生児死亡を体重別,生存期間にみると,第1週に死亡した率が新生児死亡に対し,2500g以上が52.5%であるのに対し,2500g未満は73.5%であると報告されている。これ等の報告を見ると前熟児哺育の重要性を痛感させられるのである。
 そこで少くとも生後1週間以内の看護が特に重要になる訳で,その一端として前熟児の熱源補給の補助剤として「強力モリアミンS」を使用する機会を得たのでここに報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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