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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科13巻2号

1959年02月発行

臨床研究

産婦人科患者血清によるN-N-Dimethyl-p-phenylendiamineの発色について

著者: 森下宗司1 伊藤敬1

所属機関: 1名古屋大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.103 - P.107

文献概要

 1956年Nobel研究所のStig Akerfeldt1)がN-N-dimethyl-p-phenylendiamine(以下DPPと略す)を精神病者の血清に加えると,その色が藁黄色より乾ブドー色に変化してゆくことを発見し,この現象は精神分裂病の診断に用いられ得るであろうということを示唆すると共に,定量も出来る旨Chemical and Engineering Newsに報ぜられた。DPPとは下図の如き構造を有し,Wurster's redとして知られており,L.Micha-elis等2)がその発色機序を研究している。StigAkerfeldt3)はその後の研究を発表している。即ち,ゆるやかなDPPの酸化によつて,下図の様にセミキノン型の遊離核を形成するものだと考えている。
 この物質は552mμで最大吸収を有しており,健康人から摂つた新鮮血清へDPPを加えると約5分間のlag periodをもつて乾ブドー色に呈色して,その間は吸光係数は僅かしか増加しないが,その後直線的に増加してゆく。一方精神病患者の新鮮血浩では,その呈色のlag periodは非常に短いか,あるいは之を欠いており,しかも直線的に吸光係数は増加してゆくという。この現象を彼3)は生化学的に研究している。しかし,此の反応が精神病者に特異的な反応とはいえない(例えば肝疾患,妊娠等の場合にも起り得る)ことを認めている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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