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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科13巻2号

1959年02月発行

文献概要

薬剤の臨床

婦人重症自律神経症に対するCarnigen液の使用経験

著者: 長谷川直義1

所属機関: 1東北大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.157 - P.161

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緒言
 女性のあらゆる時期に出現する自律神経症状(又は更年期障害様症状)を主徴とする症候群をわれわれは婦人自律神経症(Vegetose,Vegeto-sis)と呼んでいる1)。従来,本症に対する一般の認識は不充分であつたが,本症が産婦人科外来を訪れる妊婦を除く全外来者の13.5%を占め,之は卵管炎の14.2%に次ぎ第2位の多きを占めて居る1)事実が公にされてから,この方面を閑却して居た医家もようやく関心を持つようになつてきた。本症はその原因から間脳視床下部にある内分泌中枢の変調により,之に近接する自律神経中枢の変調をも来して茲に自律神経症状を発現する内分泌性自律神経症と精神葛藤などの情動障害が原因となつて発現する心因性自律神経症とに分類される。その診断に当つては後者は前者に比して頻度が低いこと,又心因性のものは現在初めから積極的に確診し得る診断法が困難である為,自律神経症に対しては先ず非心因性のものとして治療し,それで治療しない時初めて心因性のものを老え,精神分析法の簡易法たるRavo-nal interview2)を実施して心因を追及すると言う順序がとられている。之等の理由から先ず非心因性自律神経症に対する治療法が重要視される訳である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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