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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科13巻3号

1959年03月発行

文献概要

臨床研究

低エストロゲン性無月経について(Ⅰ)

著者: 唐沢陽介1 小林賀雄1 住吉宗三1 木下国昭1 豊島克1

所属機関: 1東京大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.227 - P.231

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Ⅰ.緒言
 無月経発生の原因として,卵巣機能の異常と云うものが,一つの大きな役割を果していることは当然のことである,しかし,従来は「卵巣が悪い」と云う言葉があるように,卵巣そのものゝ異常が,必要以上に重要視されていた憾みがないでもない。換言すれば,かつて考えられていた程,卵巣性の無月経が数多いかどうかは極めて疑問であるのである。最近の斯界の傾向は,下垂体とか卵巣とか個々の器官を問題とするより,間脳,下垂体,卵巣の三者が形作る一つの機能系を,全体として取扱つて行こうとする方向へ向つているのであるが,尚今でも「卵巣が悪い」と云う概念にとらわれる場合が少なくないと思われる。勿論一定期間以上を経過した無月経患者は,性周期を構成するあらゆる器官の機能に失調が認められるようになる。かゝる状態になると「卵巣も悪い」と云うことになるが,必ずしも卵巣に第一次的な原因があるとは限らないのである。このような見地からすると,真に卵巣性と確認し得る無月経の数は更に限られて来る。
 著者等も日常数多くの無月経患者を処理し,その原因の究明に努力しているが,明らかに原因の存する部位を指摘し得る場合は決して多くない。或いは原因を明らかにし得ない症例の中に多くの卵巣性無月経が潜んでいるのかも知れないが,現在のわれわれの行ない得る検査方法によっては結論的な断定を下すことは無理である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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