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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科13巻3号

1959年03月発行

文献概要

診療メモ

開腹術時の一般事項に関するメモ(2)

著者: 清水直太郎1

所属機関: 1九州大学温泉治療学研究所産婦人科

ページ範囲:P.281 - P.285

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 13.腹腔内所見を判断するには円靱帯,卵巣固有靱帯,卵巣提挙靱帯及びこれらの相互関係を調べることが非常に役立つ。腫瘍が移動性がなく,剔除が困難と思われる時には,腫瘍の被る腹膜或は被膜の剥離操作を考えてみる。被膜が薄くて,その血管下に腫瘍面の血管が交叉して透視出来る時には剥離は有効な一操作である。被膜を剥離する時は変位している尿管を損傷しないように,又腫瘍を剔除した後に出来る深い陥凹が死腔とならぬように被膜で覆うため,出来るだけ被膜は残すように心懸ける。剥離に限らず総て操作は一箇所に長く拘泥せず,容易な処を求めて多方向から進めることも,術時の大切な心得である。一側の付属器癒着が高度の時に,癒着の比較的軽い他側の付属器剥離に次いで子宮腟上部切断術をしてから,高度癒着の付属器を剥離剔除する連続横走切断法(Kelly)はその一実施法である。操作はすべて局所をよく直視出来るように,又緊張状態にするように周囲を色々の方向に牽引しつつするのは当然のことであるが,実際には仲々工夫を要する点である。円靱帯,卵巣固有靱帯を切断する時は子宮から余り遠くない所で行い,骨盤腹膜になるべく余裕をもたせるようにする。この場合には両靱帯の断端が接近するために,手術野を側方に拡げる必要がある時には,両断端の間の腹膜を下層から剥いで側方に切れば差支えない。次に卵巣提挙靱帯は卵巣に近く切断しないと尿管を損傷することがある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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