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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科13巻5号

1959年05月発行

文献概要

薬剤の臨床

妊娠悪阻症状に対するチオクタンの効果

著者: 山野井達也1 中村猪三郎1

所属機関: 1順天堂大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.443 - P.446

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I.はしがき
 妊娠悪阻の成立に関しては定説なく,晩期中毒症をも含め副腎皮質の機能不全に基くというもの1),肝障害によるもの,酸血症のためとするもの,自律神経失調によるものなど種々なる説がある。従つて治療法も多種多様で,従来有効な薬剤として,ゲドックス,パニールチン,ノイトロピン,V.B6,イプシロン,グルクロン酸,ブドウ糖,インシュリン,メチオニン,コリン製剤,コーチゾン,精製痘菌,グラビトン,ベリストンN,男性ホルモン,クロルプロマヂン等2)3)4)5)が挙げられているが,必ずしも良好な成績を得ているとはいいえない。
 上記諸説を参考として妊娠悪阻の成立機転を考えると,中枢神経は勿論,自律神経,ホルモン等の失調,惹いては代謝の撹乱を生じ,また代謝障害が逆に上記の諸機能に影響し,次第に悪循環となり病的状態へと発展していくものと推定される4)。従つてこの代謝障害の中心となる肝臓に何らかの障害が起ることは予期し得る所である5)。そのため悪阻治療が代謝障害の改善,肝機能の増強,解毒へと向けられる事は意義ある事と思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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