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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科13巻8号

1959年08月発行

文献概要

臨床研究

機能性子宮出血のホルモン療法—特に男女性混合ホルモンの止血効果と子宮内膜像との関係について

著者: 中山徹也1 丸山正義1 塩田光男1 渡辺明2

所属機関: 1東京大学医学部産科婦人科学教室 2三井厚生病院産婦人科

ページ範囲:P.649 - P.655

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Ⅰ.はじめに
 機能性子宮出血とは,器質的疾患(例えば子宮癌,子宮筋腫,悪性絨毛上皮腫,頚管ポリープ,子宮内膜炎,流産等)の認められない,月経周期とは無関係な不正子宮出血を指し,所謂出血性メトロパチー,更年期出血,若年期出血等を総括した病名である。
 その発生機序については今日一般に間脳—下垂体—卵巣系を中心とした内分泌系の失調が本態であろうと考えられているが,未だ不明の点が多い。その病態を子宮内膜像について見ても,かつては機能性子宮出血の代名詞の如く見做されていたSchröderの腺性嚢胞性子宮内膜増殖症は今日ではその重要な一部分を占める病態ではあるがその総てではなく,普通の増殖期像や分泌期像或いは萎縮像を示す場合もあることが明らかにされ,機能性子宮出血は如何なる状態の子宮内膜からも起り得るというのが一致した見解となつている。従つてその原因としての内分泌系における失調の部位及び程度には,重症且つ広範囲のものから,極く小範囲且つ軽度のものまで種々の段階のものが存することは想像に難くないが,機能性子宮出血の総てを内分泌的機序の面から明らかにすることは今日なお不可能であり,旧くから行われている各種ホルモン療法は一応は相当の止血効果を挙げてはいるが可成りの再発率の見られることや,一見非特異的療法と考えられる自家溶血蒸溜水静脈注射法でもかなりの止血効果のあることは,本症の複雑さを物語るものであろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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