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実験的研究
卵胞ホルモンに対する視床下部前葉系の適応性—馴れの現象—に関する研究
著者: 新井政之助12
所属機関: 1東京大学医学部産科婦人科学教室 2社会保険 群馬中央総合病院産婦人科
ページ範囲:P.777 - P.792
文献購入ページに移動周知の通りSmith(1929)及びZondek(1927)によつて下垂体前葉の性腺刺激ホルモン(以下"ホ"と略)が発見せられ1928年Zondekが前葉性機能の動因(Sexual Motor)にたとえた。その後内分泌学の著るしい進歩に伴い,性腺刺激"ホ"は既にGonadotropinの各分画にまで抽出分離されるにいたり,一方前葉は更に上位の視床下部中枢の支配を受けることが明らかとなつた。而も該中枢及び前葉は逆に末梢性腺の影響を受けることも明らかにされ、かくて間脳,下垂体,性腺の間には一つの閉鎖機能環が考えられるようになつた。このような機能環に於ける円滑な相互関係が性機能を正常に維持する条件であり,性器外的(extragonadal)因子の占める意義は益々注目されるようになつた。就中性腺又は性ステロイドの間脳下垂体系に及ぼす逆作用については近時著るしく闡明せられ(小林他1956,1957),例えば幼弱ラッテに卵胞"ホ"の一定量を投与した場合に起る黄体形成作用(Hohlweg効果1932)は現在Estrogen (以下"E"と略)の衝撃的中枢作用に基づくことが明らかにされている(小林1956,唐沢1957)。即ちこの現象は末梢性腺の性上位系に対する逆作用の仕方の定型的なパターンを示すもので興味深いが,同じような意味に於いて脱感作現象(Desensibilisierung)も亦極めて注目に価する。
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