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特集 産婦人科診療の今昔 産科学
妊娠兼心臓疾患の場合の産科学的治療方針 殊に腹式帝王切開術の要否について
著者: 長谷川敏雄1
所属機関: 1日赤中央病院
ページ範囲:P.115 - P.116
文献購入ページに移動 此処に云う心臓疾患とは,各種の器質的疾患を指すもので,軽微な収縮期雑音,頻脈,呼吸困難,心悸亢進等を示すに過ぎない所謂心臓神経症は臨床上妊娠合併症としての意義を持つものではないから,含まれていないことを予め断つておく。
そこで妊娠兼心臓疾患の場合の産科学的治療方針としては,嘗ては殊に妊娠の本症に及ぼす悪影響,就中心臓に加わる負担の増大から延いて代償機能不全の発来を主とするその重篤化を過大視するのあまり,直ちに人工妊娠中絶が必要とされた時代があり,他方幸に順調に経過して妊娠末期迄持続したとしても,異常な精神的興奮乃至努責等から,分娩時にはその突発が不可避であるとして,分娩は自然分娩ではなく腹式帝王切開術に依るべきであるとの説が支配的であつたこともあるが,今日ではそのような見解は大分変つて来た。以下その概要を述べて見たいと思う(詳細は本誌第10巻13号参照)。
そこで妊娠兼心臓疾患の場合の産科学的治療方針としては,嘗ては殊に妊娠の本症に及ぼす悪影響,就中心臓に加わる負担の増大から延いて代償機能不全の発来を主とするその重篤化を過大視するのあまり,直ちに人工妊娠中絶が必要とされた時代があり,他方幸に順調に経過して妊娠末期迄持続したとしても,異常な精神的興奮乃至努責等から,分娩時にはその突発が不可避であるとして,分娩は自然分娩ではなく腹式帝王切開術に依るべきであるとの説が支配的であつたこともあるが,今日ではそのような見解は大分変つて来た。以下その概要を述べて見たいと思う(詳細は本誌第10巻13号参照)。
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