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薬剤の臨床
機能性子宮出血に対するε—アミノカプロン酸(抗線維素溶解酵素剤)の止血効果とその作用機序について
著者: 野田克己1 飯田光雄1 近藤雅義1 渡辺津1
所属機関: 1岐阜県立医科大学産科婦人科学教室
ページ範囲:P.923 - P.927
文献購入ページに移動機能性子宮出血とは,一般に子宮,卵管並びに造血機能系に何ら器質的変化の認められない異常子宮出血を総称するもので,その発生原因は間脳—下垂体—卵巣系を中心とする内分泌系の失調に基くものであろうと云われている。
この機能性子宮出血の治療法としては,従来その原因が子宮と最も密接な関係にある卵巣の機能失調によるという臆測から,卵巣ホルモン療法(卵胞ホルモン,黄体ホルモン)が行われて来た。更に最近種々のホルモンが検討されているが,就中ステロイドホルモンに相当の止血効果のある事は周知の如くである(アンドロゲン,19ノルテストステロン,男女混合ホルモン等)。而して性ホルモンは子宮内膜に対する直接作用のほかに,中枢に対しても著明な影響を及ぼすことは最早動かすべからざることであり,他面卵巣機能と直接には関係のないインシュリン療法や,自家血蒸溜水静脈注射療法も亦かなりの止血効果を示すことに思い至ると,本症の発生機序は甚だ複雑なものであると推測される。
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