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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科14巻11号

1960年11月発行

文献概要

薬剤の臨床

エストリオールの子宮頸・腟部・腟などの炎症に対する効果

著者: 赤須文男1 牧野襄1 飯田和質1 桑原惣隆1 富原啓吉1

所属機関: 1金沢大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.999 - P.1001

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 尿中に見出されるestrogenはestradiol (EDと略),estrone (EOと略),estriol (ETと略)などであるが近時この他にもいろいろ化学構造を異にするEstrogenが証明されている。一般にEDはEO,ETに比して生物活性は強く,ETは最も弱く,EDはEOに,EOはETに転換されるがEOはEDに復元はするけれどもETはEOには復元しないとされ,ETは不用代謝産物として取扱われて来た。けれどもEDの生物活性を弱化させる目的にのみEOやETがあるのは了解されがたいところであり,この目的のためのみならば抱合化作用もあるのであつて,ETについては何か特別の作用があるのではないかと考えられている。たとえば当教室林1)の実験で,ETをEDと併用すればED単独使用よりも,EDの投与量を同一にしても子宮重量増加作用は低く,ETがEDの作用を阻止しているように考えられ,又,下垂体ゴナドトロピン分泌も著明にET投与で抑制されるのが見られた(矢吹2))。
 けれどもこうしたホルモン間の相互作用のみならず,Puck3-6)らはETが閉経後婦人の萎縮した腟及び腟部上皮を増殖させ,頸管粘液腺の発育に拍車をかけ,腟部硬化による月経痛を治癒せしめ,又,他面,動物実験的にもETが主として子宮頸部,腟部,外陰に作用し,EDは体部に主として作用しているのではないかとなしている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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