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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科14巻12号

1960年12月発行

臨床研究

外妊の補助診断に関する一考察

著者: 久保木元1

所属機関: 1川口市民病院産婦人科

ページ範囲:P.1059 - P.1066

文献概要

 外妊は戦後増加し,特にわが国の場合,その死亡率は高いと云われている。外妊増加の原因として抗生物質の進歩,特にわが国では人工中絶の増加が指摘されている。即ち各種卵管感染の機会の増加した反面,その治癒も亦容易とはなつたが,同時に卵管の不完全閉鎖の状態で放置されるものが多く,外妊増加の原因となつている。外妊の診断は問診により推定される場合が多いが,ダグラス穿刺は之に確診を与える。
 外妊とは思わないが,念の為と思つて施行したダ穿刺により,矢張り外妊であつたかと云う事は時折経験する処である。之は特に疼痛の著るしく軽い,時には本人が全く自覚しない様な場合に認められる。ダ穿刺陽性率は三宅の調査に依れば,85〜97%,約92%である。ダ窩に血液が存し,穿刺針が之に到達する限り,100%陽性となる筈であるから,斯る要因を阻げるものとして,ダ窩が癒着により閉鎖されているが,子宮後屈等でダ窩への針の刺入困難,或いは,ダ窩の血腫内に針を刺入して,血液が殆んど吸引されぬ等が考えられる。清水は附属器,腸管の癒着でダ窩が閉鎖されている1例を上げているが,ダ穿刺陰性の場合一般には針の誤入が多いのではないかと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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