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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科14巻12号

1960年12月発行

文献概要

薬剤の臨床

子宮収縮剤内服錠「パルタン」の使用経験

著者: 中村正六1 針谷成夫1 浜田宏1 鈴木孝1 田中清1 松井一郎1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.1083 - P.1085

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Ⅰ.緒言
 妊娠中,極めて大きく伸展せる子宮筋線維は,分娩開始と共に急激に収縮し,胎児を圧出し,更に胎盤を圧出して,再びもとの大きさまで復古し,次の妊娠の時期を待つ。この胎児圧出から胎盤圧出までは短時間に行われ,その間は常に医師又は助産婦の監視の下にあるため,事故に対しては直ちにそれに対する処置がとられるが,それ以後に対しては,医師,助産婦も,褥婦も家族も,分娩終了の安心感から気をゆるめ,兎角障害が起りがちである。その例として,弛緩出血,子宮内感染等があげられる。弛緩出血は分娩終了後比較的早い時期に起るため,まだ敏速な処置をとることが出来るが,子宮内感染は,子宮内にたまつた血液が,細菌に対する最良の培地となり,又体温が細菌培養に最適な温度であるため,非常に早く繁殖するが,それでも尚症状として出現するまでに数日を要するため,症状が出てから治療したのではむしろ遅すぎるの感がある。それだからといつて,分娩後に全例に抗生物質を使用するのは無駄であるので,これの予防の最もよいものは分娩終了後なるべく早く子宮内出血を止め,子宮を収縮せしめて子宮内に血液のたまるのを防ぐことである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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