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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科14巻2号

1960年02月発行

薬剤の臨床

褥婦の便通とカスカリノール添加Diocytyl Sodium Sulfosuccinate (強力バルコゾル)

著者: 中村猪三郎1

所属機関: 1順天堂大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.193 - P.195

文献概要

Ⅰ.はしがき
 産婦人科診療に際して,便秘を訴える患者に遭遇することが瘻々あり,妊婦,褥婦にとくに多い。慢性便秘は腸管の器質的病変によつておこることは勿論であるが,大多数は機能的変化によるものである。妊娠,産褥中は腸運動の減退,腹壁の伸展或いは弛緩,身体運動の不足,食物摂取量の減少等便秘の誘因となることが多い。しかも産褥中の便秘は子宮の復古機転を障害するばかりでなく,下腹部膨満し圧痛を覚え,しばしば悪心,嘔吐を伴い産褥経過を著しく不良にすることもあるといわれている。規則正しい排便が産褥経過,乳汁分泌,更に新生児発育に好影響を与えるであろうことは想像に難くない。
 従来,便秘に対しては種々の勝れた下剤があるが,刺激性下剤に属する薬剤は,効果は確実であるが,連用すれば却つて便秘を助長する傾向があり,塩類下剤は副作用の少ない秀れた薬剤であるが,連用による栄養障害や大腸カタルを起すおそれがあるといわれている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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