文献詳細
臨床研究
文献概要
I.緒 論
成熟新生児は出生時には既に形態的にも生理的にも発達していて,完全な呼吸を営む事が出来る。未熟児に於いてはいろいろ未発達なところが残存して呼吸機能の障害を起し易い。呼吸系統は胎外生活が始まるや否や直ちに新しい作用を行わねばならぬ重要なものであるが,未熟児に於いては肺の成熟度は生死に対して大きな決定をなす要素であり,呼吸神経系統の不安定はしばしば低酸素症による生命の危険をまねき易い。1953年未熟児の問題がW.H.O.で大きく取上げられる様になつてから未熟児の研究調査が盛んに行われる様になつたが,現在未熟児の呼吸機能に関する実験的研究報告は本邦に於いては稀にみるのみである。呼吸生理に関しての研究は本邦に於いては甚だ少く,坂倉,木多,伊藤1)2)3)4等の新生児の呼吸型及び呼吸量に関する研究を初めとし,伊藤5)は分時呼吸量呼吸数に関して成熟児と未熟児の差異を述べ,更に安達6)は成熟児に対する混合ガス吸入に依る実験的研究を行い成熟児の呼吸中枢に関連性を求めた。これ等はいずれも成熟児を対照としたものであり未熟児に対しては報告は見られないといつて良い位である。
成熟新生児は出生時には既に形態的にも生理的にも発達していて,完全な呼吸を営む事が出来る。未熟児に於いてはいろいろ未発達なところが残存して呼吸機能の障害を起し易い。呼吸系統は胎外生活が始まるや否や直ちに新しい作用を行わねばならぬ重要なものであるが,未熟児に於いては肺の成熟度は生死に対して大きな決定をなす要素であり,呼吸神経系統の不安定はしばしば低酸素症による生命の危険をまねき易い。1953年未熟児の問題がW.H.O.で大きく取上げられる様になつてから未熟児の研究調査が盛んに行われる様になつたが,現在未熟児の呼吸機能に関する実験的研究報告は本邦に於いては稀にみるのみである。呼吸生理に関しての研究は本邦に於いては甚だ少く,坂倉,木多,伊藤1)2)3)4等の新生児の呼吸型及び呼吸量に関する研究を初めとし,伊藤5)は分時呼吸量呼吸数に関して成熟児と未熟児の差異を述べ,更に安達6)は成熟児に対する混合ガス吸入に依る実験的研究を行い成熟児の呼吸中枢に関連性を求めた。これ等はいずれも成熟児を対照としたものであり未熟児に対しては報告は見られないといつて良い位である。
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