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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科14巻3号

1960年03月発行

文献概要

薬剤の臨床

デリバリンの使用経験

著者: 中村正六1 浜田宏1 角田英昭1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.301 - P.306

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Ⅰ.緒 言
 産科医として最も望んでいることは,いかなる人にも楽に安全に丈夫な子供を産んでもらうことで,それに対して昔からいろいろ研究され,薬がつくられ,器具が発明され,手術がなされている。その中でお産をこちらの希望する時にすませるためにも,各種の薬や器具が考按され,使用されているが,未だに安全確実なものは発見されていない。そのため,時としては過熟児となり,正常分娩が困難となり,又は子宮内で胎児が死亡してしまい,切角の10ヵ月の苦心も水泡に帰すことがある。設備が完備し,人員も揃つている都会地ですら,かかることが間々あるのであるから,医師も居らず,産婆だけに頼る山村では更にこの危険に直面している。
 分娩誘発剤として昔から使われている塩酸キニーネを主成分とし,エルゴメトリン,パパベリンを含んだ薬剤を分娩誘発に使つて,非常な成功をあげたS.L.Pehrson1)は1954年に83.5%の成功率を報告している。即ち塩酸キニーネ25mg,マレイン酸エルゴメトリン0.02mg,塩酸パパベリン10mg宛を1時間毎に6回服用させると陣痛が発来し,分娩が開始する。これで無効のものは更に翌日同様に6回服用せしめ,更に無効のものは1日休んで次の日に又6回服用せしめれば,83.5%に有効であつたという。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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