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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科14巻3号

1960年03月発行

手術・手技・麻酔

人工妊娠中絶術におけるエピロカインの応用

著者: 小石今朝光1 塩野谷能子1 天野孔昭1

所属機関: 1豊橋市民病院産婦人科

ページ範囲:P.307 - P.311

文献概要

Ⅰ.緒 言
 戦前極めて厳重な適応の下に人工妊娠中絶術が実施されていた当時はその数も少くて,本術における麻酔はさして問題とされず,むしろ無麻酔の傾向が強かつた程であつたが,戦後優生保護法の施行により人工流産術は頓にその数を増し,一方麻酔学の進歩に伴い本術における麻酔が重要視されるに至り,種々の麻酔法が応用されている現状ではあるが,それぞれに一長一短を有し,未だ本術の麻酔として真に理想とするに足るものはないようである。
 そもそも麻酔に必要な条件は奏効が確実で迅速であり,手技が簡単でしかも無害且つ廉価なることであつて,これらの条件を満たすに足るものとしては優秀な局所麻酔薬が先ず考慮されるのである。局所麻酔薬としては1884年Karl Koller及びSigmund Freund氏等によつてCocainが使用し始められてより各種の薬剤の変遷を辿り,1905年Braun氏によつてその長所を認められてから専らProcainが使用されて今日に至つているが,尚別にLidocainその他数種のものがある。Lidocainは麻酔作用においてはProcainを凌駕するが,毒性が比較的強い欠点を有している。このLidocainの欠点を補うに足る麻酔薬として日本エーザイ株式会社で合成に成功したものに Epirocainがある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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