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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科14巻3号

1960年03月発行

同人放談

分娩時の出血

著者: 松本清一1

所属機関: 1群馬大学

ページ範囲:P.323 - P.324

文献概要

 分娩時に或る程度の出血を伴うのは止むを得ないことであり,従来正常の場合でも200乃至400cc,平均250cc程度の出血は当然とされている。所がメチルエルゴメトリンの出現で,私共はこれを胎児娩出直後に静注することにより,出血量を半量以下,平均100cc程度に減ずることが出来た。今日では大部分の産婦は出血量が150cc以下であり,50或いは60cc位のものも決して少なくない。
 このように分娩時の血液損失が少なくなることが産褥の経過に良い影響を与えるのは当然であつて,おそらく産褥の回復は早まり,褥婦はより早く通常の生活に戻れるようになるであろう。従つて分娩時にはたとえそれが正常範囲であつても,「この位の出血は当然だ」という態度を取ることなく,10ccでも20ccでも出血を少なくするように産科医は努めるべきである。それと共に産褥初期から充分な栄養を摂らせ,早期離床を行なわせるならば,褥婦の生活は従来成書に記載されているのとは全く異つたものになる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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