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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科14巻4号

1960年04月発行

臨床研究

分娩後のThyroid storm症例について

著者: 石突吉持1 富田明夫1 河原光一1 鷲見敏2 中塚勉2

所属機関: 1名古屋大学医学部日比野内科 2名古屋大学医学部産科婦人科

ページ範囲:P.363 - P.368

文献概要

Ⅰ.緒言
 瀰漫性中毒性甲状腺腫を有する患者が経過中に心悸亢進,頻脈,発熱等甲状腺中毒症状の急激な増悪を示し,遂には昏睡に陥入り死に至る重篤な状態はthyroid storm或いはcrisisと呼ばれている(Werner19))。
 1893年にMüller1)が始めて本症を記載したが,以来報告例は少なく,Means2)の著書には,2033例の甲状腺機能亢進症患者の中35例がcrisisをおこし,手術例1383例中では25例がstormを惹起したと述べてあり,更に甲状腺切除術後に見られるstormをsurgical storm,その他の原因によるものをmedical stormと名付けている。しかし沃度剤,抗甲状腺剤が甲状腺機能亢進症の治療に或いは甲状腺切除術の術前処置として使用されるに及んで益々本症の発現頻度は少くなり,現今では殆どが術後性バセドウ氏病反応として経験される様になつたが,甲状腺機能亢進症が女性に多い事から,甲状腺と妊娠分娩の関係も色々論議されており,産婦人科領域においても妊娠中絶術の際,或いは急速遂娩後にstormを経験したという3)2〜3の報告に接する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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