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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科14巻5号

1960年05月発行

臨床研究

子宮癌治療と副腎皮質ホルモン及びACTH

著者: 清水直太郎1 吉川暉1 丸山隆義1

所属機関: 1九州大学温研産婦人科

ページ範囲:P.453 - P.459

文献概要

 副腎皮質ホ,またはACTHが癌腫手術等の大手術時のショック防止に,またその治療に,術前から術中術後に用いて有効であることは,既に実地に経験されている。また癌の放射線治療に際して皮質ホ及びACTHが放射線宿酔を軽減するのに役立つほか,皮膚,膀胱,直腸における照射障害の抑制,治療に,主としてその局所使用の有効であることが報告されており,著者等もシェリプロクト坐薬,軟膏(ハイドロコーチゾン含有)の有効なことを経験しているので,後日改めて発表する。更に手術,放射線に次ぐ第3の癌治療法としての化学療法,就中現在最も期待されている制癌剤療法に伴う諸副作用の抑制,治療にも皮質ホ及びACTHは有効である。ことに副作用として最も危険であり,殆ど必発する白血球減少症には放射線によつて起つたものと同じく,従来特効的な手段がなく,そのために屡々癌治療を中断し,長期間に亘つて白血球増加のための治療をしなければならぬことは日常珍らしくない。従つて皮質ホ,またはACTHで白血球の著増を急速に来し得ることは強力な癌腫治療を遂行する上に極めて重大な意義がある。例えば既往の強レ照射で照射野の皮膚に硬結,毛細血管拡張等がある場合には制癌剤治療を適用するが,この際に白血球減少があれば,それは不可能であるから癌治療は一応中断しなければならぬ。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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