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文献概要
症例報告
娩出前から診断のついていた紙状児
著者: 杉野保雄1 近藤幸雄1
所属機関: 1三重県立大学医学部産婦人科
ページ範囲:P.533 - P.538
文献購入ページに移動I.緒言
多胎妊娠に於ては,一般に各胎児の大さに不同を認める事が多いが,何等かの原因によつてその中の1児或いは2児が発育不良となり,他の健全な胎児の発育によつて次第に萎縮し,遂に死亡して紙状に菲薄扁平化された時,これを紙状児Fo—etus papyraceus.又は圧縮児と呼んでいる。しかしながら紙状児を娩出前に診断する事は至難であつて,妊娠経過の注意深い観察と,「レ」線撮影によつてのみ,時に診断が可能となるが,実際に妊娠中に「レ」線撮影によつて診断した報告は極めて少い。私達は最近妊娠経過中に3回の「レ」線撮影を行い,更に妊娠経過の観察と併せて,双胎,1児正常児,1児紙状児と診断し,その妊婦が妊娠10ヵ月にて1児を正常に分娩し,1児を紙状児として排出せる症例を経験したので茲に報告する。
多胎妊娠に於ては,一般に各胎児の大さに不同を認める事が多いが,何等かの原因によつてその中の1児或いは2児が発育不良となり,他の健全な胎児の発育によつて次第に萎縮し,遂に死亡して紙状に菲薄扁平化された時,これを紙状児Fo—etus papyraceus.又は圧縮児と呼んでいる。しかしながら紙状児を娩出前に診断する事は至難であつて,妊娠経過の注意深い観察と,「レ」線撮影によつてのみ,時に診断が可能となるが,実際に妊娠中に「レ」線撮影によつて診断した報告は極めて少い。私達は最近妊娠経過中に3回の「レ」線撮影を行い,更に妊娠経過の観察と併せて,双胎,1児正常児,1児紙状児と診断し,その妊婦が妊娠10ヵ月にて1児を正常に分娩し,1児を紙状児として排出せる症例を経験したので茲に報告する。
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