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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科14巻6号

1960年06月発行

手術・手技・麻酔

婦人科手術におけるCarnigenの使用経験

著者: 有馬敬典1

所属機関: 1高山赤十字病院産婦人科

ページ範囲:P.587 - P.590

文献概要

Ⅰ.緒言
 閉鎖循環式気管内麻酔が従来の麻酔法に此べ多くの利点を有していることは勿論であるが,わが国の現状では特殊の病院,限られた手術の他は本麻酔法を主麻酔とすることなく殊に婦人科領域の手術はその殆んどが腰椎麻酔(以下腰麻と記す)によつて行われているものと思われる。腰麻はその手技が容易であり骨盤内臓器を対象とするわが領域では充分の麻酔効果(麻痺と筋弛緩)が得られ且つ安価である等,幾多の長所を有しているが,他方いわゆる腰麻ショック,呼吸麻痺等の致命的なものから,血圧下降,嘔気,嘔吐,頭痛,一過性神経麻痺等,種々の副作用も屡々みられる。この中,腰麻ショック,呼吸麻痺等直接生命の危険を伴うものも,その先触れとして血圧下降が起つてくるのでわれわれは此等重大なる副作用の発現を早期に発見且つ予防する意味において腰麻施行後は絶えず血圧の変動を観察し血圧の異常下降に対し直ちに充分なる処置のとれるようにつとめている。腰麻に殆んど必ず伴つて起る血圧下降の原因については従来,種々の説があるが現在では交感神経麻痺領域の末梢血管拡張による血液のうつ滞を来たし,その結果,循環血液量が減少することが主なる原因とされ,更に運動神経麻痺による骨格筋弛緩も血圧下降を助長せしめる一因をなしていると考えられている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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