文献詳細
症例報告
文献概要
Ⅰ.緒言
同一個体に癌腫が多発する場合には一般に重複癌(Doppelkarzinom,double cancer)と呼ばれるが,狭義には病理解剖学的に関係のある臓器組織系に多発した癌腫に対して重複癌という語は用いられている。外科並びに病理学領域では,胃,腸や皮膚に於いて多発性癌の報告が多く,左程珍しくはないが,婦人科領域とくに子宮の重複癌については報告が極めて少く,本邦では渡渉しえた文献上4例に過ぎない。従来重複癌は病理学上癌の発生病理学的興味から論じられて来たが,われわれの経験した症例は臨床的にも重要な意義を有するものと考えられる。即ち子宮頚部に全く独立に発生したと考えられる円柱上皮癌と扁平上皮癌の合併例であつて,子宮重複癌の中でも比較的稀れな型に属し,臨床的にも反省されるところが多かつたので報告する次第である。
同一個体に癌腫が多発する場合には一般に重複癌(Doppelkarzinom,double cancer)と呼ばれるが,狭義には病理解剖学的に関係のある臓器組織系に多発した癌腫に対して重複癌という語は用いられている。外科並びに病理学領域では,胃,腸や皮膚に於いて多発性癌の報告が多く,左程珍しくはないが,婦人科領域とくに子宮の重複癌については報告が極めて少く,本邦では渡渉しえた文献上4例に過ぎない。従来重複癌は病理学上癌の発生病理学的興味から論じられて来たが,われわれの経験した症例は臨床的にも重要な意義を有するものと考えられる。即ち子宮頚部に全く独立に発生したと考えられる円柱上皮癌と扁平上皮癌の合併例であつて,子宮重複癌の中でも比較的稀れな型に属し,臨床的にも反省されるところが多かつたので報告する次第である。
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