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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科15巻1号

1961年01月発行

臨床研究

悪性腫瘍(子宮癌)治療における白血球減少症の対策—特にアデニン剤(ロイコン)を中心として

著者: 清水直太郎1 吉川暉1 丸山隆義1 村上欽也1 井上通泰1 阿部尚子1

所属機関: 1九州大学温研産婦人科

ページ範囲:P.7 - P.12

文献概要

I.はじめに
 悪性腫瘍の放射線治療,或は化学療法を行うに際して,治療を充分に行おうとすればする程,それに伴う副作用が著しくなり,治療の続行を不能にするし効果も減退するから,副作用を抑制軽減することは実地上重要な問題である。最近は照射法の改良,強力な制癌剤の登揚によつて,ある程度副作用は軽減されたが,なお一層強力な治療を行うためには,更に有効な副作用抑制対策が望まれる。
 いわゆる副作用としては,食思不振,悪心,嘔吐等の主として消化器系障害と,白血球減少,貧血,出血性素因等の造血臓器障害とがある。後者は前者に比して難治であり,そのために治療の中断を余儀なくされる事や,時に思わぬ急激な白血球減少がおこり,従来のあらゆる治療も効なく死の転帰をとる症例がある事は,従来諸家によつて報告されているし,われわれも経験している。しかし消化器系の副作用にクロールプロマジン,ペルフェナジン,副腎皮質ホルモン(以下皮質ホと略記)が有効であることは赤田,小山氏等と同じくわれわれも認め,既に報告したところであり,今日消化器系副作用の為に治療を中断する事は極めて稀になつた。反之,造血臓器障害には今日なお万全な対策が得られていない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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