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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科15巻12号

1961年12月発行

綜説

児の知能,身体発育と産科的要因

著者: 室岡一1

所属機関: 1日本医大産婦人科学教室

ページ範囲:P.973 - P.979

文献概要

1.緒言
 産科医は自己の取扱つた児の知的発育,身体的発育について全く関与しないが,産科的操作を行つた児の発育状態が思わしくないと,しばしばその時の治療行為に対して批判されることがある。W. J. Little (1843年)もリットル氏病の原因を分娩外傷に求めているが,たしかに発育してゆくべき児の知能,身体が産科的諸要因により阻止されるとするならば,これは大きな問題であり,また産科操作そのものも根底から批判されなければならない。そこで今日までこの方面の研究については数多くの業蹟が産科医のみならず精神科医,小児科医からも報告されているが,ある程度の一致した見解はみられても甲論乙駁あり,一概に結論を出し得ない現状である。ことに産科医の出した成績と精神科医の成績とはかなりへだたつた場合が多く,このことは取扱う対象が異るためとも考えられ,また時代の相異による診療内容の差も原因すると思われる。いずれにせよ陽性の成績に対しては産科医として常に貴重な反省の資料となるが,また反面には,却って治療萎縮になり誤つた簡易処置に廻避するようなことがあつてはならない。このことは産科医のみでなく他科医,一般患者までも産科的処置を恐れて帝王切開乱用の傾向になりかねないのである。したがつて本論題に対する正しい見解を知ることは極めて重要なことと考えるので,ここに従来までの業蹟を集めてその趨勢を述べ,参考に供したいと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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