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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科15巻2号

1961年02月発行

実験的研究

60CO,Mitomycin-C,Thio-TEPA,Nitrominの影響下に於けるHeLa細胞の細胞病理学的並びに増殖曲線に関する比較研究—特に巨細胞出現の意義に関する考察(1)

著者: 若松市郎1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.111 - P.122

文献概要

緒言
 細胞病理学的観点に立脚する癌研究から導かれる必然的な傾向として,個々の癌細胞を直接に観察する研究が展開される。腹水癌等の游離細胞癌の発見,或はまた剥脱細胞による癌診断学は,その理念にそう最も代表的な業蹟と云える。また組織培養による癌細胞・正常細胞培養の確立も可能となり,こゝに癌細胞の定量的研究の領域が開拓されるとともに細胞学も古典的な形態学中心から脱却し,細胞生理学乃至細胞生化学研究へと飛躍を来した。殊に子宮頚癌由来のHeLa細胞の登場は,細胞水準における多方面の研究領域に新しい主流を生じたが,産婦人科領域においても興味ある研究対象である。
 ひるがえつて放射線生物学上細胞病理学的研究は,主要な地位を占めているのにもかゝわらず単なる形態学の領域を脱却することが出来なかつた。培養細胞株の登場は,初めて基本的な定量的研究の可能なることを約束せしめるであろう。当教室では数年来,HeLa細胞につき各種の研究を進めており,既にX線,60COおよび各種制癌剤に対して感受性を有することも既に知られた。著者はHeLa細胞を対象とし,60CO,代表的制癌剤の2,3につき比較的長期間に亘る広範な作用量の影響下における,細胞増殖の態度・形態学的変貌との相関関係につき,細胞の動態を比較検討することを目標として本実験を企画し,予期の成果を得ることに成功した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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