icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科15巻3号

1961年03月発行

文献概要

実験的研究

卵管内受精卵に関する2〜3の知見

著者: 秋山精治1 宗像昭雄1 滝田忠雄1 山崎一男1

所属機関: 1福島医科大学産婦人科教室

ページ範囲:P.195 - P.201

文献購入ページに移動
Ⅰ.緒言
 不妊症探究という立場から卵管を眺めるとき,従来は卵管の疏通性の有無を以て足れりとしていた観があつたが,最近になつて,卵の搬送という機能的な面が開拓され逆行性疏通検査法1)2)3)が工夫されたのでわれわれの不妊に対する視野が広げられたけれども,矢張り卵管は卵の通路であるという意味しか持たないことには変りはない。
 受精卵が卵管内を通過するに要する期間はヒトは6乃至7日4)兎は70時間5)6)であるというが,ともかく,この間に於て受精卵が如何に栄養され発育するかという問題は非常に重要である。古くから卵管内容液は受精卵を保護したり栄養したり或いは精子の栄養となると考えられており7)8)9),1929年Corner,Allen10)11)が妊娠の成立に妊娠中の卵巣エキスが必要なことを子宮内膜の組織学的変化によつて明らかにし得たが,この妊娠不成立の原因が卵管内に於ける受精卵の変性によることを証明し卵管内に於ける受精卵の発育には黄体のある卵巣が必要であることがWestman12)によつて始めて指摘された。又受精卵が子宮に着床する為には卵細胞の分裂発育が或る程度に進んでいることが望ましく13),茲に卵管内に於ける受精卵の栄養学的背景を解明することが当面の問題となつて来た。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?