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実験的研究
下垂体性Gonadotropinの生物学的研究—ラット下垂体前葉のGonadotropin量について
著者: 熊坂高弘1
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部産婦人科学教室
ページ範囲:P.203 - P.211
文献購入ページに移動Ⅰ.緒言
脳下垂体前葉中に性腺刺激物質が確認されてから既に半世紀を数え,更に直接下垂体を用いて性腺に対する機能的,形態学的作用を観察した業績も可成り古い歴史を持つている。そして近年に至り更に性機能の自律的調節の中枢として間脳視床下部が注目され,性機能を系統的に生体生理現象の一つのcycleとして理解しようとする努力がなされて来たが,下垂体前葉が性腺を支配する直接的要因であることには変りはなく,性機能の解明には,下垂体の性腺刺激能,特に前葉gona—dotropin (以下Gと略記する)の変動を追究することが,重要な一手段であることは論をまたない。方法論的には,下垂体自身及び目的臓器の形態的差異をみることが最も容易であり,客観的指標となり得るのでこれに関しては幾多の報告がある。著者は方法論的には可成り困難な分析手段である下垂体の機能を客観的な量として表現し,性機能を下垂体中Gの量的変動からdynamicに解明しようと試みた。
脳下垂体前葉中に性腺刺激物質が確認されてから既に半世紀を数え,更に直接下垂体を用いて性腺に対する機能的,形態学的作用を観察した業績も可成り古い歴史を持つている。そして近年に至り更に性機能の自律的調節の中枢として間脳視床下部が注目され,性機能を系統的に生体生理現象の一つのcycleとして理解しようとする努力がなされて来たが,下垂体前葉が性腺を支配する直接的要因であることには変りはなく,性機能の解明には,下垂体の性腺刺激能,特に前葉gona—dotropin (以下Gと略記する)の変動を追究することが,重要な一手段であることは論をまたない。方法論的には,下垂体自身及び目的臓器の形態的差異をみることが最も容易であり,客観的指標となり得るのでこれに関しては幾多の報告がある。著者は方法論的には可成り困難な分析手段である下垂体の機能を客観的な量として表現し,性機能を下垂体中Gの量的変動からdynamicに解明しようと試みた。
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