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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科15巻3号

1961年03月発行

文献概要

薬剤の臨床

晩期妊娠中毒症に対するHydroflumethiazide (Rontyl)の効果

著者: 丸山正義1 圃中健吉1

所属機関: 1東京都立大久保病院産婦人科

ページ範囲:P.241 - P.245

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Ⅰ.はじめに
 ChlorothiazideがNovello及びSprague(1957)により合成され,Beyer,Moyer等によりBenzothiadiazine系誘導体には特異な利尿作用及び降圧作用がある点が注目され,其後研究が進むにつれて各種の浮腫性疾患,高血圧症,さらにわが領域では妊娠中毒症に対する有力な治療剤として認められるようになつた。最近Chloro—thiazide,Hydrochlorothiazideに次いでHy—drochlorothiazideの6の位置のClがtri—feuoromethyl基で置換されたHydroflume—thiazide (Rontyl)が作られ,実用に供されるようになつた。Rontylの作用機序の本態は尚不明の点が多いが,本質的に見てChlorothiazide,Hydrochlorothiazideとさほどの差異は認められていない。即ちその利尿作用はDiamoxや水銀利尿剤の利尿作用と異つて尿細管に於けるNaとClの再吸収を抑制して尿中への排泄を促し,これによつて大量の水も排泄するものであるが,NaとClを同一比率で排泄せしめ,且つKやHCO3の排泄にはあまり影響を与えない為,血中酸塩基平衡の障碍は軽度と考えられる。降圧作用は第一次的機序によるものでなく,電解質代謝の変動の結果,或いは他の二次的機序によるものとされている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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