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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科15巻4号

1961年04月発行

雑誌目次

グラフ

同胞に見られたるTesticular Feminization

著者: 坂倉啓夫 ,   茂木源太郎

ページ範囲:P.271 - P.272

 症例は姉20歳,妹18歳で,同胞6人の第4子および第5子である。第1子は男,第2,第3子および第5子は女で,いずれも異常なく,家系調査にも異常を認めない。主訴はともに原発性無月経である。
 姉は身長162cm,体重48kg,妹は165.5cm,53kgで,乳房の発育ともに不良であり,殆んど扁平ながら乳腺らしき組織塊を触れる。

綜説

最近の問題—人類の染色体

著者: 牧野佐二郎

ページ範囲:P.273 - P.286

 問:人間の染色体数は47とか,48とか,以前からいろいろ異論があり,また最近は46という報告がでて,東西の学者間に論争がつづけられているようですが,いつたいいくつが正しいのでしようか。
 答:それは46が正しいのです。ここで少々研究の歴史を話さなければならないでしよう。人類の染色体研究は19世紀の終り頃から過去70年間の古い歴史をもつていて,初期の研究では人間の染色体数24〜32前後と報告しています。これは研究方法が幼稚であつたためによい標本をつくることができなかつたためです。1912年にベルギーのブラッセル大学のウィニワルテル博士が人間の男子は47の染色体をもつていると発表しました。これは画期的な研究で学界の認識を新たにしました。1923年に小熊博士と木原博士の協同研究で,ウィニワルテル博士の結果が再確認されました。ところが同年にアメリカのテキサス大学のペインター博士が人間は男子も女子も48の染色体をもつていると報告しました。47を主張する学者は男子に性決定染色体(X)が1個であるというのに反して,48説の学者はそれがXとYの2個によつて代表されているというのです。

臨床研究

最近10年間の分娩時異常出血について

著者: 高浜創

ページ範囲:P.287 - P.293

Ⅰ.緒言
 分娩時に於ける出血の生理的限界としては,石川の600ccという例外もあるが,高塚,鷲山,磐瀬,香川,今津,小畑,九嶋らは,ひとしく500ccとしている。私は昭和20年より昭和29年まで10年間の,当教室に於ける分娩時異常出血について調査する機会をもつたが,個々の例をみてゆくと,5,600cc前後の出血でも,必ずしも病的な出血と考えられないものも間々ある様に考えられる。しかし,多くの報告者との比較も考慮に入れて,500cc以上の分娩時出血のうち,前置胎盤,常位胎盤早期剥離等による分娩初期の出血を除いた分娩第Ⅲ期及び分娩後2時間以内の出血をとりあげて,その調査成績を報告する。従つて,その中には弛緩出血の外に,裂傷出血,胎盤又は卵膜の遺残による出血,原因不明のもの等も含まれる。

下垂体性Gonadotropinの生物学的研究—非妊婦尿中のGonadotropinについて

著者: 熊坂高弘

ページ範囲:P.295 - P.303

Ⅰ.緒言
 1928年,Aschheim-Zondekによつて妊婦血中及び,尿中に性腺刺激物質の存在が確認されて以来,Gonadotropin (以下Gと略記)に関する研究は枚挙にいとまがない。しかし,現在なお純品も得られず,その作用の本態,物理化学的性質,種々の生理的,病的状態下における下垂体の機能,更にGの変動なども完全に解明されているとは言い難い。著者は従来Gの生物学的定量法として比較的困難であつた統一的標準単位の問題に,最近国際標準として広く用いられて来ているHMG(Human Menopausal Gonadotropin)を採用し,各G相互の力価の統一と比較を容易にし,且つ,Gの力価と各動物反応との間に推計学的検討を加え,Gの微細な変動も簡単に理解出来るようにし,更に生物学的にFSHとLHを分離定量する一端としてSteelman and Pohley (1954)1)の方法を変法し,仮の標準品としてAnteron(Schering)を用い,FSHの変動を量的に表現出来るようにした。以上の測定法により,非妊婦人について実験的条件下における下垂体性Gの変動を追求した。

文献抄録

Oestrogen antagonisms; The effects of oestriol and 16—epioestriol on oestrone-induced uterine growth in spayed rats,他

著者: 平野睦男

ページ範囲:P.293 - P.293

 去勢ラットにoestrone及びoest—riolを混皮下注すると,oestroneが少量の時には子宮重量増加がoestriolで刺激される。oestroneが中等量の時はこの反応はoestriolで阻害され,大量の時にはoestriolで影響をうけなかつた。16—epioest—riolでも大体同じことが見られた。従つて著者らはoestriol (多分16—epioestriolも)より強いoestrogenが少量の時は子宮を保持するように,又多い時にはその作用を制限するように,stronger oestrogenに対して一種の生物学的bufferとしてはたらいているものと考えられると述べている。

実験的研究

乳腺に於ける乳糖の合成に対するProlactinの影響について

著者: 八木文夫

ページ範囲:P.305 - P.308

Ⅰ.緒言
 乳汁分泌は内分泌学的に複雑な機構に支配されているが,Prolactin (PLと略す)が第一義的なものであることはわが教室に於いて実験的にも,又臨床的にも既に明らかにされたところである1)2)
 一方,乳汁中の代表的な含水炭素である乳糖(lactose)は何をprecussorとして,又如何なる過程を経て生合成されるかと云う問題は未解決の点もあるが,乳糖が乳腺に於いて合成されることはGrant (1935)3)がin vitroでこれを証明して以来広く認められているところである。そこで乳汁中の1成分である乳糖のin vitroでの合成に於いてPLが如何なる影響をもつかを知るならば,PLの乳腺に対する作用の一面を分析的に考察出来るものと思い,次の実験を試みた。

薬剤の臨床

妊娠悪阻に対する新肝臓機能促進剤ホモチステイン・チオラクトンの使用知見

著者: 小口圭太郎

ページ範囲:P.309 - P.311

Ⅰ.緒言
 妊娠悪阻に対する各種治療剤の中で肝臓機能促進剤は一般に用いられており,またそれに関する報告も行われているが,この程ホモチステイン・チオラクトン(HCTと略)含有内服錠および注射液を使用し,認むべき効果を得たのでここに報告する。

副腎皮質ホルモン(Triamcinolone)単独経腟投与による二,三の知見

著者: 高田道夫 ,   板谷忠重

ページ範囲:P.313 - P.318

 副腎皮質ホルモンによる治効機序として,副腎皮質機能不全に対する一種の補充療法として用いられる場合や,ACTH分泌を抑制し二次的に副腎皮質機能特にAndrogenの分泌を抑制する場合,及び非特異的作用として,その抗炎症作用,抗毒素作用,抗アレルギー作用,抗体産生抑制作用を応用する場合等がある。その他糖質代謝作用,造血臓器に対する作用,毛細血管抵抗性増加作用,その他いまだその機序が明らかでない場合も少なくない。
 産婦人科領域でもこれらの性質を利用して,諸種の炎症性疾患に抗生物質との併用,排卵誘発への利用などが行われているが,屡々外陰掻痒症の治療にも局所塗布の形で用いられ,良好な成績が報告されている。私共は副腎皮質ホルモンとしてTriamcinoloneを選び,経腟投与が腟内容にどのような影響を与えるかを観察し,今後の臨床応用上の一基盤とする目的で実験を行つた。

Tetracycline-Nystatin (Achrostatin Ⅴ)の効果主として真菌出現予防について

著者: 水野重光 ,   吉元昭治 ,   於保英彦

ページ範囲:P.319 - P.322

 抗生物質は各種感染症に対し顕著な効果を発揮しつつあるが,一方において臨床応用の普及に伴い種々の事故ないし欠点も発揮するに至つた。菌交代現象に関連する真菌症,ことにCandida albicansの増殖によるカンジダ症の発生も抗生物質療法に伴う障害の一つである。カンジダ症の発生にはCandidaの出現が先行するか或いは既に潜在せるCandidaの繁殖,症状発現への発展があるわけであるが,Candidaが出現しても必ずカンジダ症症状を呈するわけではない。しかし身体の条件如何(重症患者,虚弱者,手術後,妊婦など)によつては,大量,長期間に亙る投与はカンジダ症症状を誘発するおそれなしとしない。従つて大量投与,ことに広領域抗生物質の長期投与の際には常に真菌出現を念頭に入れておく必要がある。

更年期障害に対するカトロンの治療効果

著者: 佐藤彰一 ,   三枝襄二 ,   中西陸 ,   多々良真 ,   相沢和郎 ,   高橋琢磨

ページ範囲:P.323 - P.325

 更年期障害は婦人科領域において未だその治療が確立していない疾患である。勿論これには種々なる性ホルモンが関連を有するのであるが,これらの性ホルモンが如何様に働くものであるかは未だ不明であると云つてよい。
 従つて更年期障害に対して女性ホルモンの使用が行われている。然し女性性ホルモンには子宮内膜に作用し種々なる好ましからぬ結果を来すことから必らずしもその使用は推奨し得ない状態である。従つて近来男性ホルモンの使用ないしは種々なる脳神経に作用する薬剤が使用されるようになつた。更年期障害にあらわれて来る症状はむしろ自律神経失調に関するものであり,当然自律神経に対する薬剤が使用せられているが,時に更年期症状として或る程度の脳性の症状を来すことはよく知られたことであり,うつ症ないし抑うつ状態を来たし患者自身のみならず周囲の人間をも悩ませるものである。従つてこの点を考慮した薬剤が奏効するならば大いに益する処あるものと考える。カトロンは近来うつ症に対して効果ある薬剤として提供せられ精神科において大いに用いられその効果大なることを認められつつあるものである。従つて著者等はこの点を考慮しカトロンを更年期障害に使用し効果あることを認めるにより,本剤を紹介すると共にその治療効果を発表する次第である。

分娩時の疲労回復に対するローヤル・ゼリーの効果について

著者: 河村潤之輔

ページ範囲:P.327 - P.329

Ⅰ.緒言
 ローヤル・ゼリー(以下R.J.と略)にはK.Kubin1)によればビタミンB2,B5,B6,B8,B12,Biotin,Pantothensäure,アミノ酸類,単糖類,多糖類,酵素等を含むと云われ,既に欧州では悪性腫瘍2),動脈硬化症3)等の治療に使用されている。
 今回私たちは,中外製薬よりR.J.注射薬(R.J.−1212注,K 2354)の提供をうけ正常分娩後の健康褥婦に使用し,分娩による疲労度の経過観察を行なつたのでその概要を報告する。

婦人科手術における合成止血剤Sodium α—naphthylamine−4—sulfonate (Naphthionin)の使用経験

著者: 綾延明 ,   武田秀 ,   湯浅保

ページ範囲:P.331 - P.336

Ⅰ.緒言
 生体内に於ける血液凝固過程は極めて複雑であり,未だ多くの未解決の点が残されている。最近血液凝固に関する研究が進展し,Stefanini (1955)等によつて凝固因子の解明が行なわれ,他方多くの止血剤が臨床上に応用される様になつた。
 Sodium α—naphthylamine−4—Sulfonateもこれらの新止血剤の一つである。本剤は1930年Wadekind,Becker及びWienertによつて止血効果のある事を発見されたCongo redに類似した化学構造を有し,1949年Estéve,Langer等によつてその構造式中のNaphthionic acidが強い止血作用を呈する分子団である事が認められ,更に1950年Dubois-Ferriéreによつて広範な動物実験及び臨床実験が行なわれ,その止血効果を確認された薬剤である。

Fluoxymesterone・Ethinylestradiol混合ホルモンの婦人自律神経症候群に対する効果について

著者: 赤須文男 ,   矢吹俊彦 ,   斎藤真 ,   安達弘章

ページ範囲:P.337 - P.341

Ⅰ.緒言
 卵巣機能不全に起因,あるいわ合併すると思われる自律神経失調症状は,各年代にわたり見られるものであり,更年期障害,月経前緊張症,卵巣欠落症,及び一部の月経困難症などとして臨床上現われてくるものである。
 ことに更年期は卵巣の機能生命が失われようとする変調期であり,この期間は生体の適応反応の程度に差異があるので個人差はあるが,いわゆる更年期障害を発現しがちである。この際,性ホルモンの分泌異常がおこるため月経異常を見ることが多く,ついには月経をみなくなるに至るものである。要するに閉経を中心として各種の変化は内分泌の平衡失調に起因するものと考えられ,まず卵巣は機能を低下し,その結果として Gonado—trophin分泌の過多があり,この際間脳も直接間接に関与している事は周知の事実で,Wagner1)は更年期障害患者に間脳下垂体調節機能の低下,亢進や失調を認めその原因が間脳にあるとし,又九嶋2)は内分泌障害は間脳にも影響し各種の症状群を発生させるもので,これらを婦人自律神経症と呼んでいる。即ち更年期の変化は内分泌系を介しての間脳自律神経系の,主として機能失調によるものである。更年期の変化は上述の如く先ず卵巣機能の変調から始まる。

Spartein及び,Ergometrine Maleate混合剤(Partan錠)の内服臨床成績について

著者: 廉林幹司 ,   笠井貞夫 ,   森沢桂一 ,   宮尾構造 ,   杉本弘 ,   加藤道也

ページ範囲:P.343 - P.346

Ⅰ.緒言
 子宮収縮剤であるSpartein (以下Spと略記)とErgometrine Maleate (以下Egmと略記)の混合内服剤(Partan錠)を持田製薬の協力を得て作り,人工妊娠中絶後の子宮収縮並びに正常分娩後の産褥子宮収縮の目的に,内服せしめ認むべき成績を得たので報告する次第である。
 Partan錠の成分は1錠中次の如くである。

Benzthiazide (Fovane)の妊娠中毒症に対する使用経験

著者: 上野雅清

ページ範囲:P.349 - P.355

Ⅰ.緒言
 1957年にNovello及びSprague等によりChlorothiazideが合成され,降圧作用を有する利尿剤として各科領域に使用されるに至つて以来,Benzothiadiazine系薬剤の進歩発達はめざましく,Flumethiazide,Hydrochlorothiazide,Hydroflumethiazideと一連の薬剤も出現し,水銀利尿剤,炭酸脱水素酵素阻害剤,Aminouracil系利尿剤,Triazine系利尿剤等を凌ぐに至つた。これらBenzothiadiazine系薬剤は水銀利尿剤と炭酸脱水素酵素阻害剤との中間的性格を有し,Cl及びこれにほぼ相当するNa排泄がその主因であると考えられており,利尿効果の強い割合に副作用が比較的少ないのが利点とされている。
 Hydrochlorothiazide及びHydroflume—thiazideはChlorothiazide及びFlumethiazideの3,4—dihydro誘導体で,その効果はChloro—thiazideの10〜20倍とみなされている。

1・3—disulfonamide−6—chlor-benzene (サルトロン)による後期妊娠中毒症の治療

著者: 山下徹 ,   丹野修 ,   越後屋隆

ページ範囲:P.357 - P.359

I.はじめに
 近年種々のスルフォンアミド系の経口利尿剤が登場して以来,浮腫疾患の治療の面では在来の水銀利尿剤や塩類利尿剤は殆んどが駆逐された感がある。
 先ずAcetazoleamide1)が登場し,産婦人科領域では妊娠中毒性浮腫の治療に用いられて来た。しかしAcetazoleamideには服用中 Acidosisに傾き利尿効果が減弱するという欠点がある。そこでこの様な効力低下のないものとしてChloro—thiazide2)が登場し,次いで同系統の薬物としてHydrochlorothiazideや更にはHalogen,Ami—no,Acylamino等の多数の誘導体が出現し,臨床各方面に用いられている。これらの薬物ではK,アルカリ予備の大量排泄を伴なわないNa,Clの排泄増加による利尿効果と血圧降下作用が認められて居り,産婦人科領域での後期妊娠中毒症に対する治療効果については多数の報告が見られる3)〜6)

自律神経(失調)症に対するエストリオール錠の使用経験

著者: 長谷川直義 ,   樋口安彦

ページ範囲:P.361 - P.364

Ⅰ.はしがき
 自律神経(失調)症並びに自律神経性婦人疾患の治療1)2)にはoestrogen療法のみでなく,0.5%塩酸プロカイン緩徐静注療法,androgen,oestrogen+androgen (混合hormone),oestro—gen+androgen+progesterone (tristeroidhormone)等のhormone療法のほか臍帯埋没療法,更に最近ではtranquilizer療法3)4)5)(chlor—promazine,plégicil,reserpine,meprobamate),精神賦活剤catron療法6)等があり,いずれも相当の良効果がみとめられている。これ等数多い臨床知見からも,最近漸く,本症の主因が卵巣機能の衰退或いは下垂体の性腺刺激hormone分泌能の異常ではなくて,間脳自律中枢の失調にある…ということが最も端的に首肯されるに至つた。然しながら,これ等の多種に亙る薬物が本症に対し100%の奏効率を挙げているわけではない。本症の中にはこれ等の薬物療法のうち1方法だけを相当長期間使用したにも拘らず,尚難治なものがあることは日常の臨床で屡々経験するところである。治療に移るに先立ち,各症例につき,どの薬物が最も効果があるかを決定し得ない今日,筆者らは1剤5日間前後の治療を施し,これでなお効果なき時は他の薬剤に切換えて行くという治療方式(少量短期間回転法)をとり効果を挙げている。

症例報告

Rh式血液型不適合による新生児赤芽球症の交換輸血成功の1例について

著者: 後藤忠雄

ページ範囲:P.365 - P.366

Ⅰ.緒言
 血液型不適合の母子間の新生児赤芽球症に対し,現在,交換輸血による治療法が最適である。
 その方法も 1) Wallerstein氏法(大泉門を通じ,矢状洞   より瀉血し,腕の表在血管より輸血) 2) Wiener氏法(橈骨動脈より瀉血し,内踝   の伏在静脈より輸血) 3) Arnold & Alford氏法(大伏在静脈が股   静脈に入る前で,ポリエチレン管を下空静   脈に入れ,一方から瀉血,他方から輸血) 4) Diamond氏法(臍静脈からポリエチレン   管を入れ,同一管で潟血し,輸血)等が行われている。

大陰唇に発生した懸垂性線維腫の1例

著者: 佐藤弘 ,   筑井正之 ,   小牧雅彦

ページ範囲:P.367 - P.370

Ⅰ.緒言
 一般に,外陰に発生する腫瘍は性器腫瘍中比較的稀なものであるとされているが,最近当科に於いて,小手拳大の右大陰唇より発生した懸垂性線維腫を経験したので,茲に報告し些さか考案を試みたいと思う。

卵の外遊走によると思われる副角妊娠の1例

著者: 金子英一 ,   佐藤一男

ページ範囲:P.371 - P.373

 左卵巣嚢腫の茎捻転と考えて開腹術を行なつたが,稀有なる痕跡的副角子宮の妊娠であつた症例を報告する。

出生時体重1035g未熟児哺育例

著者: 後藤仲 ,   原豊

ページ範囲:P.374 - P.376

Ⅰ.はしがき
 未熟児哺育に関する知識と技術の進歩にともなつて多くの哺育成功例が報告される様になつたが,依然その哺育は極めて困難且つ繁雑であり,哺乳開始の時期,栄養の選択,又その濃度,補助療法の必要性の是非等々について未だ明確な解答が得られていない。
 われわれは最近妊娠5ヵ月より切迫早産状態にあり,大量の黄体ホルモン投与により妊娠8ヵ月迄持続して分娩した出生時体重1035gの未熟児を全母乳と毎日少量のパンビタン,アクロマイシン経管投与のみにて哺育し,分娩予定日1週間前に,2700gを突破した症例を経験したので報告する。

同人放談

Edel sei der Mensch!(友よ高貴であれ)

著者: 夏目操

ページ範囲:P.377 - P.378

 戦後は既に終り,経済界の生長は目ざましいけれど,ヒューマニズムの復興はむしろ遠ざかりつつあるような印象を受ける。
 私のお隣りの愛知県師崎では,今,伊勢湾台風の災害復旧工事が行なわれているが,最近請負業者が堤防工事に手を抜いたことが発覚して大問題になつている。基礎のクイ打ち100本中の15〜16本をごまかしたという。幾万という市民の生存を守る重要な仕事だというくらいのことは充分御承知の筈である。同じ台風で鍋田開拓地区が,堤防の決潰のため一瞬のうちに海に呑まれたあの大惨害を見たばかりであるだけに慄然とした。

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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72巻3号(2018年4月発行)

今月の臨床 ここが知りたい! 早産の予知・予防の最前線

72巻2号(2018年3月発行)

今月の臨床 ホルモン補充療法ベストプラクティス─いつから始める? いつまで続ける? 何に注意する?

72巻1号(2018年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 産婦人科感染症の診断・管理─その秘訣とピットフォール

71巻12号(2017年12月発行)

今月の臨床 あなたと患者を守る! 産婦人科診療に必要な法律・訴訟の知識

71巻11号(2017年11月発行)

今月の臨床 遺伝子診療の最前線─着床前,胎児から婦人科がんまで

71巻10号(2017年10月発行)

今月の臨床 最新! 婦人科がん薬物療法─化学療法薬から分子標的薬・免疫療法薬まで

71巻9号(2017年9月発行)

今月の臨床 着床不全・流産をいかに防ぐか─PGS時代の不妊・不育症診療ストラテジー

71巻8号(2017年8月発行)

今月の臨床 「産婦人科診療ガイドライン─産科編 2017」の新規項目と改正点

71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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