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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科15巻4号

1961年04月発行

文献概要

綜説

最近の問題—人類の染色体

著者: 牧野佐二郎1

所属機関: 1北海道大学理学部

ページ範囲:P.273 - P.286

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 問:人間の染色体数は47とか,48とか,以前からいろいろ異論があり,また最近は46という報告がでて,東西の学者間に論争がつづけられているようですが,いつたいいくつが正しいのでしようか。
 答:それは46が正しいのです。ここで少々研究の歴史を話さなければならないでしよう。人類の染色体研究は19世紀の終り頃から過去70年間の古い歴史をもつていて,初期の研究では人間の染色体数24〜32前後と報告しています。これは研究方法が幼稚であつたためによい標本をつくることができなかつたためです。1912年にベルギーのブラッセル大学のウィニワルテル博士が人間の男子は47の染色体をもつていると発表しました。これは画期的な研究で学界の認識を新たにしました。1923年に小熊博士と木原博士の協同研究で,ウィニワルテル博士の結果が再確認されました。ところが同年にアメリカのテキサス大学のペインター博士が人間は男子も女子も48の染色体をもつていると報告しました。47を主張する学者は男子に性決定染色体(X)が1個であるというのに反して,48説の学者はそれがXとYの2個によつて代表されているというのです。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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