文献詳細
臨床研究
下垂体性Gonadotropinの生物学的研究—非妊婦尿中のGonadotropinについて
著者: 熊坂高弘1
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部産婦人科学教室
ページ範囲:P.295 - P.303
文献概要
1928年,Aschheim-Zondekによつて妊婦血中及び,尿中に性腺刺激物質の存在が確認されて以来,Gonadotropin (以下Gと略記)に関する研究は枚挙にいとまがない。しかし,現在なお純品も得られず,その作用の本態,物理化学的性質,種々の生理的,病的状態下における下垂体の機能,更にGの変動なども完全に解明されているとは言い難い。著者は従来Gの生物学的定量法として比較的困難であつた統一的標準単位の問題に,最近国際標準として広く用いられて来ているHMG(Human Menopausal Gonadotropin)を採用し,各G相互の力価の統一と比較を容易にし,且つ,Gの力価と各動物反応との間に推計学的検討を加え,Gの微細な変動も簡単に理解出来るようにし,更に生物学的にFSHとLHを分離定量する一端としてSteelman and Pohley (1954)1)の方法を変法し,仮の標準品としてAnteron(Schering)を用い,FSHの変動を量的に表現出来るようにした。以上の測定法により,非妊婦人について実験的条件下における下垂体性Gの変動を追求した。
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