icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科15巻4号

1961年04月発行

文献概要

薬剤の臨床

更年期障害に対するカトロンの治療効果

著者: 佐藤彰一1 三枝襄二1 中西陸1 多々良真1 相沢和郎1 高橋琢磨1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.323 - P.325

文献購入ページに移動
 更年期障害は婦人科領域において未だその治療が確立していない疾患である。勿論これには種々なる性ホルモンが関連を有するのであるが,これらの性ホルモンが如何様に働くものであるかは未だ不明であると云つてよい。
 従つて更年期障害に対して女性ホルモンの使用が行われている。然し女性性ホルモンには子宮内膜に作用し種々なる好ましからぬ結果を来すことから必らずしもその使用は推奨し得ない状態である。従つて近来男性ホルモンの使用ないしは種々なる脳神経に作用する薬剤が使用されるようになつた。更年期障害にあらわれて来る症状はむしろ自律神経失調に関するものであり,当然自律神経に対する薬剤が使用せられているが,時に更年期症状として或る程度の脳性の症状を来すことはよく知られたことであり,うつ症ないし抑うつ状態を来たし患者自身のみならず周囲の人間をも悩ませるものである。従つてこの点を考慮した薬剤が奏効するならば大いに益する処あるものと考える。カトロンは近来うつ症に対して効果ある薬剤として提供せられ精神科において大いに用いられその効果大なることを認められつつあるものである。従つて著者等はこの点を考慮しカトロンを更年期障害に使用し効果あることを認めるにより,本剤を紹介すると共にその治療効果を発表する次第である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?