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薬剤の臨床
Fluoxymesterone・Ethinylestradiol混合ホルモンの婦人自律神経症候群に対する効果について
著者: 赤須文男1 矢吹俊彦1 斎藤真1 安達弘章1
所属機関: 1金沢大学医学部産科婦人科学教室
ページ範囲:P.337 - P.341
文献購入ページに移動卵巣機能不全に起因,あるいわ合併すると思われる自律神経失調症状は,各年代にわたり見られるものであり,更年期障害,月経前緊張症,卵巣欠落症,及び一部の月経困難症などとして臨床上現われてくるものである。
ことに更年期は卵巣の機能生命が失われようとする変調期であり,この期間は生体の適応反応の程度に差異があるので個人差はあるが,いわゆる更年期障害を発現しがちである。この際,性ホルモンの分泌異常がおこるため月経異常を見ることが多く,ついには月経をみなくなるに至るものである。要するに閉経を中心として各種の変化は内分泌の平衡失調に起因するものと考えられ,まず卵巣は機能を低下し,その結果として Gonado—trophin分泌の過多があり,この際間脳も直接間接に関与している事は周知の事実で,Wagner1)は更年期障害患者に間脳下垂体調節機能の低下,亢進や失調を認めその原因が間脳にあるとし,又九嶋2)は内分泌障害は間脳にも影響し各種の症状群を発生させるもので,これらを婦人自律神経症と呼んでいる。即ち更年期の変化は内分泌系を介しての間脳自律神経系の,主として機能失調によるものである。更年期の変化は上述の如く先ず卵巣機能の変調から始まる。
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