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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科15巻6号

1961年06月発行

薬剤の臨床

放射線宿酔に対するε—Aminocaproic Acid療法—イプシロンについて

著者: 吉崎宏1 黒崎洵1 丹野修1

所属機関: 1東北大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.517 - P.519

文献概要

Ⅰ.まえがき
 放射線療法時にわれわれが屡々経験するところの放射線宿酔の本態及び発生機転に就ては現在まで種々の学説が発表されているが未だ定説はない。放射線障害の原因については組織蛋白分解産物説,Nekrohormon説,Histotoxin説,Ra—diotoxin説,Histamin説,自律神経失調説,ストレス説等枚挙にいとまなく,その本態が極めて複雑であることがうかがわれる。
 最近血漿中にある蛋白溶解酵素の一種であるFibrinolysin (Plasmin)が或る種の状態で急激に活性化され,生体に種々の病的状態を惹起することが知られ注目されるようになつた。即ちこの線維素溶解酵素(Fibrinolysin・Plasmin)の活性が手術後,ショック時,火傷,月経時,妊娠悪阻及び湿疹等では急激にその活性化が高まり,血液中に著明に増加していることが判つて来た。又一方レ線照射後に於ても尿中にPlasminが増加する傾向が認められた。一般に斯るPlasminの活性化を来す如き疾患に対してはその賦活作用を抑制する如き薬剤を投与することによつて症状の消失が齎らされることが報告されているが,斯る見地からPlasminの活性化を阻止する物質の一つであるε—アミノカプロン酸(イプシロン)を放射線宿酔患者に試用し,その治療効果を検討したのでその成績を報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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