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薬剤の臨床
妊娠中毒症に対するChlorobenzene 2・4—disulfonamide (サルトロン)の治療効果について
著者: 近藤勝昻1 住吉秀夫1 井川昭1 佐竹好民1 中郷猪一郎1 斎藤真平1
所属機関: 1徳島大学医学部産婦人科
ページ範囲:P.521 - P.525
文献購入ページに移動近年利尿剤は水だけでなくむしろ電解質の排出の面から見られるようになり,Sulfonamideの中のSO2NH2基を有するものに炭酸脱水素酵素抑制作用のあることがわかり,Roblin等によりAcetazolamideが発見され,臨床的に広く用いられてきた。本剤はNa+の再吸収を抑制し,その際に多量の水分を伴うために利尿効果をもたらすものである。このNa+はNaHCO3等の形で尿中に排出され,体液中の重炭酸塩の減少をきたすためアチドージスの傾向をきたし,その結果,連用すると本剤の利尿効果は減少する。又一方,1957年Novello及びSpraque等がSulfonami—de系の利尿作用の研究からクロロサイアザイド系薬剤を発見して以来,我々産婦人科領域にも応用され,特に妊娠中毒症治療剤として用いられるに至つた。本系統薬剤は炭酸脱水素酵素抑制効果に更に水銀利尿剤様作用の加つたものと考えられており,Na排泄効果のため浮腫のみならず高血圧症にも有効とされている。
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