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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科15巻6号

1961年06月発行

文献概要

薬剤の臨床

妊娠中毒症に対するChlorobenzene 2・4—disulfonamide (サルトロン)の治療効果について

著者: 近藤勝昻1 住吉秀夫1 井川昭1 佐竹好民1 中郷猪一郎1 斎藤真平1

所属機関: 1徳島大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.521 - P.525

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 妊娠中毒症の治療中薬物療法は最も重要な部門を占めている。この薬物には降圧剤,利尿剤,解毒剤,鎮痙及び鎮静剤等多く使用されているが,未だ満足すべきものは見当らない感がある。これらの中従来利尿剤として使用されてきた薬物中水銀利尿剤を除いては充分なる効果は期待されず,しかも水銀利尿剤は腎性毒とされている。
 近年利尿剤は水だけでなくむしろ電解質の排出の面から見られるようになり,Sulfonamideの中のSO2NH2基を有するものに炭酸脱水素酵素抑制作用のあることがわかり,Roblin等によりAcetazolamideが発見され,臨床的に広く用いられてきた。本剤はNaの再吸収を抑制し,その際に多量の水分を伴うために利尿効果をもたらすものである。このNaはNaHCO3等の形で尿中に排出され,体液中の重炭酸塩の減少をきたすためアチドージスの傾向をきたし,その結果,連用すると本剤の利尿効果は減少する。又一方,1957年Novello及びSpraque等がSulfonami—de系の利尿作用の研究からクロロサイアザイド系薬剤を発見して以来,我々産婦人科領域にも応用され,特に妊娠中毒症治療剤として用いられるに至つた。本系統薬剤は炭酸脱水素酵素抑制効果に更に水銀利尿剤様作用の加つたものと考えられており,Na排泄効果のため浮腫のみならず高血圧症にも有効とされている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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