文献詳細
症例報告
文献概要
Ⅰ.緒言
腹膜偽粘液腫は原発巣よりみて,主として卵巣起原性のものと虫垂起原性のものとに大別され,女性においては圧倒的に卵巣原性のものが多いが,中には原発巣が同時に虫垂及び卵巣にわたることがあり,また時をちがえて卵巣や虫垂に偽粘液腫の続発をみることがある。私達は最近,巨大な腸詰様虫垂偽粘液腫より発生した腹膜偽粘液腫の患者が,1年後に再び腹部膨隆をきたして再手術をうけ,更に7カ月後にまたまた腹部膨隆及び呼吸困難をきたして3度目の開腹術を行つたところ,初回の腹膜偽粘液腫の所見のほかに,巨大な卵巣偽粘液腫を形成し,これが破れて腹腔内に膠様物を充満していた症例を経験した。本症例は初回手術時には肉眼的に両側卵巣には何ら異常を認めなかつたのに,僅か1年半後にはこれが妊娠8カ月子宮大の腫瘤に変化しており,本症においては初回手術に於いて,肉眼的に異常を認めない卵巣及び虫垂をも剔除する必要があることを痛感したのでここに報告する次第である。
腹膜偽粘液腫は原発巣よりみて,主として卵巣起原性のものと虫垂起原性のものとに大別され,女性においては圧倒的に卵巣原性のものが多いが,中には原発巣が同時に虫垂及び卵巣にわたることがあり,また時をちがえて卵巣や虫垂に偽粘液腫の続発をみることがある。私達は最近,巨大な腸詰様虫垂偽粘液腫より発生した腹膜偽粘液腫の患者が,1年後に再び腹部膨隆をきたして再手術をうけ,更に7カ月後にまたまた腹部膨隆及び呼吸困難をきたして3度目の開腹術を行つたところ,初回の腹膜偽粘液腫の所見のほかに,巨大な卵巣偽粘液腫を形成し,これが破れて腹腔内に膠様物を充満していた症例を経験した。本症例は初回手術時には肉眼的に両側卵巣には何ら異常を認めなかつたのに,僅か1年半後にはこれが妊娠8カ月子宮大の腫瘤に変化しており,本症においては初回手術に於いて,肉眼的に異常を認めない卵巣及び虫垂をも剔除する必要があることを痛感したのでここに報告する次第である。
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